子どもの発達と心の診療
その他の疾患・症状

学校にいけない・不登校・ひきこもり

文部科学省は、不登校を「(体の)病気や経済的事情などのやむを得ない理由以外によって、年間で30日以上、学校に行かない、または行きたくても行けない状態」と定義しています。
現在、国内での不登校の生徒は17万人にものぼります。背景に、心や発達のトラブルが隠れていることも多く見られますので、お子様のご様子で気になることがあれば、一度当院にご相談ください。
もちろん、上記の定義の「年間30日以上」を必ずしも満たす必要はございません。

なりやすい年代・性別

特に10代前半の発症率が高くなっています。
男女差はほとんどありません。

原因

年齢によって、原因の傾向が異なります。

小学校低学年
  • 分離不安(親、自宅から離れることに強い不安を抱く)
  • 家庭環境の問題
  • 注意欠如・多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)など
小学校高学年~中学生以上
  • いじめ(SNSを含む)
  • 友人関係、担任の教師との関係が悪い
  • 転校、進級によるクラス替え
  • クラスでの孤立
  • 成績不振
  • テスト、受験へのストレス
  • 心身症・精神疾患(睡眠障害やゲーム依存も含む)
  • 発達障害(注意欠如・多動症、自閉スペクトラム症など)
見立て

上記のように、不登校の原因となる疾患、環境は非常に多彩です。複数の要因が絡まり合っている場合も多々あります。
まずは、下記のような多軸的な見立てが必要です。
もちろん、学校にいけない子のすべてが何らかの疾患や発達障害、ストレスを抱えているわけではありません。

  • 不登校を来す精神疾患・心身症など
  • 発達障害やその傾向
  • 不登校のタイプ
  • 心理・社会的ストレス
  • 不登校の段階(モチベーションの変化を含む)
支援

しっかりとした見立てができれば、おのずと支援策が見えてきます。

  1. まずは、環境調整(ストレスへの介入)から開始します。なんらかの疾患が関連していれば、その治療も並行して行います(詳細は、それぞれの疾患のページをご参照ください)。
  2. 心身の状態がある程度落ち着いてきたら、社会復帰について検討しますが、ここで重要なのは、不登校の段階やモチベーションの変化を観察しながら、焦らず時期を待つことです。詳細は割愛しますが、社会との再会を模索し始めるような何らかの兆候が現れた時が、復帰を考え始めるタイミングです。また、必ずしも元の学校生活の状態に戻ることが正解ではありません。様々な選択肢について相談し、お子様自身が納得し、安心できる方法を模索します。
  3. 発達障害やその傾向があれば、その特性に応じた学習環境や薬の治療も重要です(詳細は、発達障害のページをご参照ください)。
  4. 支援全体を通じて、不登校のタイプや子どもの性格に応じた配慮も必要です。自分の弱みを他人に見せたくない子の場合には、プライドを傷つけるような発言は禁物です(反発または無視されてしまいます)。内気で心配性な子には、不安がらせず、本人のペースを大切にしてあげることが重要です(無理強いしたり詰問すると、怖がるか黙りこんでしまいます)。直接的には反抗しないが、指示にはほとんど従わず、ふてくされている子の場合は、お子様を信じ、意思を尊重してあげることが非常に重要です(強引な指導をすると、余計に心を閉ざしてしまいます)。衝動的でクラスで孤立しがちな子の場合は、からかわれたり孤立することのない安心な居場所が重要です。

このように、不登校の支援には児童精神医学の総合力が問われ、カウンセリングにはどうしても時間がかかってしまいます。ですので、ご相談は、ぜひ「子どもの心と発達の診療」(完全予約制、30分枠)でご予約をお願いいたします。
なお、30分の専用時間枠には、学校の先生などに同席していただくことも可能です。平日の日中になってしまいますが、学校で困り事などあれば、ぜひご検討いただければと思います(受診の一環となりますので、必ずお子様の健康保険証・医療証を持って、保護者の方も一緒にご来院ください)。
また、お子様のご来院が難しい場合も多々あるかと存じます。そのような場合には、保護者様のみ(または保護者様と学校の先生のみ)でご来院いただいても結構です。

かんしゃく・イライラ

かんしゃくとは、暴力を伴う感情の爆発のことを指します。
お子様が年齢を重ねるほど、ご家族のご負担も大きくなります。かんしゃく、あるいはかんしゃくに至らずともイライラがひどい場合には、一度当院にご相談ください。

かんしゃくにともないこのような行動はありませんか?

  • うまくいかないと泣く
  • 喚く、叫ぶ
  • 金切り声を出す
  • 手足をバタバタあっせる
  • 床・地面を転げまわる
  • 地団太を踏む
  • ものを投げる・蹴る、ものを壊す
なりやすい年代

通常、1歳頃から現れ始め、2~4歳でもっとも多くなります。稀に5歳以降でも継続される場合があり、中には15歳くらいまで続くケースも見られます。
小学生以降になってもかんしゃくを繰り返したり、感情の制御が著しく困難な場合は、不眠や寝不足、気分障害(双極性障害・重篤気分調節症・うつ病など)、複雑性PTSD、反抗挑発症や間欠爆発症、発達障害(ADHDやASDなど)、思春期境界例などの病態、または、ストレス、薬の副作用、かんしゃくを強化するような係わり方、虐待などの外的因子がないか、一度検討してみる必要があるかと思います。
お困りであれば、ぜひご相談ください。
かんしゃくを来す原因があれば可能な限り解消し、何らかの疾患が見つかれば治療について検討しましょう。

不安症

誰でも不安を感じることはありますが、不安症ではセンサーが過敏になり、本来それほどの危険・危機ではないにもかかわらず強い不安を感じ、日常生活に支障をきたします。
たとえば何かの発表会が迫っている場合では、しっかりと準備をして、先生や友達のサポートが受けられる状況で、リハーサルがうまくいったとしても、やはり不安を感じてしまいます。本番当日も不安は続き、登校前に気分が悪くなったり、休んでしまったりといったことも起こり得ます。
治療は、環境調整や不安に打ち勝つための行動療法が中心となります。不安を消すことを目標にするのではなく、不安な気持ちをコントロールしながら登校・勉強・友達付き合いなどの社会生活をできる限り維持することを目指します。

なりやすい年代・性別

10代半ばで発症するケースがよく見られます。
男女別では、男子よりも、女子に多い傾向があります。

分離不安症

分離不安症とは、小学校に上がる頃になっても保護者様に近くにいることを求め、離れることを極端に嫌う疾患です。ひどくなると、学校に行けない、1日中親のそばにいたがるといったことも起こります。
治療は、学校などでの環境調整と行動療法が中心となります。保護者様と離れるのを嫌がり、学校に行けなくなるようであれば、ぜひご相談ください。

原因

親と離れることに不安を抱く気持ちは、概ね3歳くらいまでであれば、誰もが持っています。
それ以降も分離不安が強く、園や学校、またはご家庭での生活に支障を来している場合は、分離不安症の可能性があります。双生児における分離不安症の遺伝率は73%とされており、遺伝的要因が示唆されております。
また、家族や友人などの親しい人、ペットの死、転校などをきっかけとして分離不安障害になることもあります。

なりやすい年代・性別

一般に、年齢の低いお子様に多く、小児期から青年期・成人にかけて減少する傾向があります。
子どもでは男女比はほぼ同等ですが、一般人口では女性に多いとされています。

強迫症

強迫症とは、自分の意志に反してある考えに囚われてしまい、それによって生まれる不安を解消するために何度も同じことを繰り返してしまう状態を指します。
手が汚れている気がして何度も手を洗う、戸締りができていない気がして何度も確認しに戻る、物の配置がいつもと違うと不安になり移動させたくなるといったケースが挙げられます。
治療では曝露反応妨害方や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が用いられます。両者の併用が最も効果的と思われます。

原因

はっきりとした原因は、未だ解明されていません。ただ、脳内で神経伝達物質セロトニンの機能が低下していることが考えられます。また、ストレス、環境の変化などの影響も指摘されています。

なりやすい年代・性別

10代半ば~40代の発症が多い傾向にありますが、約1/4は14歳までに発症します。
小児期では男子に多い傾向がありますが、成人期では女子の方が若干多いとされています。

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