発達障害

当院では発達のご相談をおこなっております

いばクリニックでは、発達障害(神経発達症)に関するご相談も承っております。
お子様の発達の遅れが気になる、勉強に着いていくのがしんどい、まわりと馴染めない、チックなどのお悩み・ご不安がございましたら、お気軽にご相談ください。

初めてのご相談、あるいはじっくりと相談したいという場合には、専用の時間枠でのご予約をお願いします。
なお、30分の専用時間枠には、学校の先生などに同席していただくことも可能です。平日の日中になってしまいますが、学校で困り事などあれば、ぜひご検討いただければと思います(受診の一環となりますので、必ずお子様の健康保険証・医療証を持って、保護者の方も一緒にご来院ください)。

火曜日・金曜日:14:00~16:00

お子様の事でこのようなお悩みがございませんか?

  • 運動の発達が遅れている
  • 言葉や勉強などの遅れが目立つ
  • お友達と仲良く遊べない
  • 話しかけても視線が合わない
  • こだわりが強い
  • 好きなことをしているとまわりが見えない
  • 好きなこと以外に全く興味を示さない
  • 落ち着きがない
  • じっと座っていられない
  • チックがある

対象年齢

18歳未満

子どもの心と発達の診療時間

子どもの心と発達の診療は、完全予約制(30分枠)です。
ご予約のない場合、一般診療の時間枠に受診していただくことも可能ですが、その場合は5~10分ほどしか時間をとれません。予めご了承ください。
初めて相談する場合、じっくり相談したい場合には、専用の時間枠でのご予約をお願いします。
なお、30分の専用時間枠には、保育士さんや幼稚園・学校の先生などに同席していただくことも可能です。平日の日中になってしまいますが、園や学校で困り事などあれば、ぜひご検討いただければと思います(受診の一環となりますので、必ずお子様の健康保険証・医療証を持って、保護者の方も一緒にご来院ください)。

火曜日・金曜日:14:00~16:00

発達障害とは?

発達障害(神経発達症)とは、生まれつきの脳の働きの違いによって、行動・情緒にさまざまな特徴が認められる状態を指します。
知的能力障害(知的障害)、自閉スペクトラム症(自閉症・アスペルガー症候群など、ASD)、注意欠如・多動症(注意欠陥多動性障害、ADHD)、限局性学習症(学習障害、LD)、チック症(運動チック、音声チック、トゥレット症)などがあり、青年期、大人になっても症状が続くケースも見られます。
しかし、幼いころから、お子様の特性に合った関わりやトレーニングを受けることによって、能力を伸ばし、自尊心を育むことができます。
また、ある程度の段階に達したら、お子様自身にも、自分の性格や行動の特徴、得手・不得手などを知っていただくことが役立ちます。その際に大切なのは、①マイナス面だけでなくプラス面もよく理解すること、②得意な部分も苦手な部分も含めて、自分が唯一無二の大切な存在であり、家族や社会から必要とされているのを理解することです。
そのため、早期発見と早期治療が非常に重要となります。少しでも気になる点がございましたら、お気軽にご相談ください。

発達障害の種類と症状

発達障害には、知的障害、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、限局性学習症、チック症などがあります。

自閉スペクトラム症(ASD)

以前は広汎性発達障害(PDD)とも呼ばれていました。かつてアスペルガー症候群と呼ばれていた概念も、当疾患に含まれます。
言葉、視線、表情、身振り・手振りなどを活用したコミュニケーションが苦手です。
自分の気持ちを伝えること、相手の気持ちを感じ取ったりすることも不得手です。
また、特定のことに強い関心・こだわりを持ったり、感覚の敏感さ(または鈍感さ)が見られます。

注意欠如・多動症(ADHD)

年齢に比べて、注意力が続かない、落ち着きがない、じっと待てないといった特性を持ちます。
不注意が強いか多動性・衝動性が強いかはケースによって異なり、両者が混在することもあります。

限局性学習症(学習障害)

全体的な知的発達の遅れがない一方で、読む・書く・計算するなどといった能力において、その学習と実践に困難をきたします。

お父様やお母様、保護者の方の「育て方」が原因ではありません

発達障害は、生まれつきの特性です。ご両親の育て方、愛情の注ぎ方などが影響して起こるものではありません。
一方で、患者様ご本人(お子様)の努力不足、わがままによるものでもないことを理解してあげることが大切です。

お子様の発達障害に気づくポイント

発達障害の早期発見・早期治療のためにも、以下のようなポイントに注意してあげてください。

コミュニケーション
  • 自分の気持ちをうまく伝えられない、相手の気持ちを読み取れない
  • 話がうまく難しい言葉を使うが、一方的に喋る・喋り過ぎる
  • 身振りや表情が少ない、他人の身振りや表情を理解しづらい
  • 特定の友達ができない、友達と上手く遊べない
注意力や集中力
  • 話しかけても聞いていない、授業を聞いていない
  • うっかり間違いが多い
  • 落ち着きがない、じっとしていられない、座っていられない
  • 忘れ物をしたり、提出期限を守れないことが多い
  • 朝の支度、片付けができない
こだわり・感覚
  • こだわりが強い
  • 何か月も同じ遊びばかりしている
  • 興味の幅がとても狭い
  • 音や肌触り、または臭いに敏感
  • 痛みや温度などに鈍感
運動
  • スポーツなどでぎくしゃくした動きになってしまう
  • 指先が不器用
  • 瞬き、肩すくめ、咳払い、鼻ならし、汚言などを、無意識に繰り返す
学習
  • 学校の授業の理解が難しい
  • 理解はできているようだが、作業がとても遅い
  • 学年相応の本を読むのがたどたどしい、または内容が理解できない
  • 学年相応の字が書けない、または作文がとても苦手
  • 学年相応の計算ができない
情緒
  • 些細なことでもよく怒る、またはすぐに手が出る
  • 自分が決めたルール、手順通りにできないと混乱する
  • 興奮するとクールダウンが難しい
睡眠
  • なかなか寝てくれない
  • 夜中に何度も目を覚ます
  • 早朝に目を覚ます
  • 日中眠そうにしている

発達障害の主な特徴(年齢別)

発達障害における、年齢別に見られることの多い特徴をご紹介します。
特徴の現れ方は、発達障害の種類で、また一人一人で異なるものですので、あくまで参考程度としてください。
当てはまる項目があっても、ただちに発達障害と考える必要はありません。気になる点があれば、些細なことでも気軽にご相談ください。

乳児期(~1歳まで)の例

  • 生後4か月で、あやされても声を出して笑わない
  • 生後5か月で、頸が座らない
  • 生後8か月で、お座りができない(坐位を保てない)
  • 生後11か月で、身振りのまね(イナイイナイバーなど)をしない
  • 1歳で、親指と人差し指でつまめない
  • 抱っこされるのを嫌がる

幼児期(~6歳まで)の例

  • 1歳半で、意味のある単語を話さない
  • 1歳半で、つかまらずに歩くことができない
  • 2歳で、お友達と手をつないだり遊んだりしない
  • 2歳半で、2語文(「マンマちょーだい」「ワンワンきた」など)を話せない
  • 3歳で、自分の姓名を言えない
  • 4歳で、同年齢の子どもと簡単な会話ができない
  • 4歳半で、簡単な共同作業(砂場でお友達と山を作る、積み木やブロックで1つのものを作るなど)ができない
  • まわりが疲弊するほど、かんしゃくや自傷行為が激しい
  • 不快なことがあるとすぐに手を出してしまう
  • 会話をしているのに目が合わない

学童期(小学校)の例

  • 授業をあまり聞いていない
  • 忘れ物・なくし物が多い
  • 授業中にじっとしていられない、立ってしまう
  • 順番やルールを守れない、割り込んでしまう
  • 提出物を期日までに出せない
  • 一緒に何かを楽しめる特定の友達がいない
  • 他者の気持ちを理解できない(相手が嫌がっているのが分からないなど)
  • 特定の分野の知識が豊富だが、他人とあまり共有できない
  • すぐにキレて、暴言や暴力、自傷行為が目立つ
  • 読み、書き、または計算の習得に遅れが見られる

思春期(中学校~高校)の例

  • おとなしくしているのが苦痛
  • 授業中、頻繁に無関係なことを考えてしまう
  • 計画を立てること、計画どおりに実行することが苦手
  • 提出物の出し忘れが多い、または期日までに仕上げられない
  • 年齢よりも幼い態度、振る舞いが目立つ
  • クラスや部活動に馴染めない
  • 自分が好きなこと以外には極端に興味を持てない
  • 学習面で遅れ、得意・苦手分野の偏りが目立つ
  • すぐに教師に反抗する

検査

当院では公認心理師または臨床心理士による発達検査・知能検査を実施させていただきます。
保険診療となりますので、こども医療証のある方の自己負担額は通常1回500円です。
当院が掛かりつけの方で、医師が必要と判断した場合にのみ、検査を実施させていただきます。検査のみのご依頼はお受けできませんので、あらかじめご了承ください。

新版K式発達検査

生後100日~成人まで幅広く実施できる発達検査です。実際には、幼児~小学校低学年のお子様によく用いられます。
「姿勢・運動」、「認知・適応」、「言語・社会」の3つの領域から評価します。
2回目以降の検査では、前回から最短でも半年あけて検査する必要があります。

WISC-IV

5歳0か月~16歳11か月のお子様用の知能検査です。
言語理解・知覚推理・ワーキングメモリー・処理速度の4つの領域から評価します。
2回目以降の検査では、前回から最短でも1年(できれば2~3年)あけて検査する必要があります。

治療

最終的な目標は、将来、自立した大人に成長し、幸せな生活を送れることだと考えております。そのためには、子ども時代をどう過ごし、何を学ぶかが重要です。
治療は、環境調整・トレーニング(訓練)・薬物療法の3本柱から成ります。

1環境調整

園や学校で、効果的に学び成長できるよう、保育士や教員と情報を共有し、保育・学習の環境を調整します。近年は発達特性に対応した教育が普及し、療育施設、加配保育士、支援学校、支援学級、通級教室、インクルーシブ教育など、様々な手段があります。
家庭でも上手に指導し、良好な親子関係を保てるよう、保護者が指導法を学ぶことも重要です。そのための手段としてペアレントトレーニングがあり、子どもへの指導の仕方や褒め方、意欲の引き出し方などを実践的に学ぶことができます。また、保護者同士の情報交換や仲間づくりの場としての意義もあり、非常に有用です。

2トレーニング

子ども時代に学ばなければならないことは、勉強だけではありません。ライフスキル(生きていくための力)、運動、身辺自立、自尊感情など、他にも大切なことがたくさんあります。
以下に、大人になるまでに身につけるべきと思われるスキルを図示します。

この中で最も重要なのは、自尊感情(自己肯定感)ではないでしょうか。自尊感情は生まれながらに備わっているものではありません。家族や社会との関係の中で育てていくべきものです。そういう意味で、スキルと見なすこともできます。
どれも一朝一夕に身につくものではなく、教える側も大変ですが、完璧を求める必要はありません。焦らず、「ぼちぼち行こか」くらいに構えるのが、ちょうど良いと思います。
上の図を見ていると、「ライフスキルや身辺自立って、どこで教えてもらえるの?」と思われる方はおられませんでしょうか。現代は核家族化や共働きが進み、地域の子どもや大人との交流も減少したため、昔のようにライフスキルや身辺自立を家庭や地域社会の中で学ぶ機会が減少しております。しかしその一方で、近年は放課後等デイサービスの普及が目覚ましく、ライフスキルや身辺自立などを培う場として大きな役割を果たしております。また、学習のサポートも実施してくれる事業所も多く見られます。このように、放課後等デイサービスは発達障害のあるお子様の支援において、不可欠な存在となっております。

3薬物療法

注意力・集中力のなさ、落ち着きのなさ、衝動的な行動、強いイライラ、攻撃性、自傷行為、不眠、やめたいのにやめられないこだわり、重度のチックなどに対して、薬が有効な場合があります。主に小学生以上の方に用います。また、個人差が大きいですが、漢方薬が効くケースもあります。
これらの症状のために、学校や家庭でお困りの場合は、ぜひご相談ください。

自閉スペクトラム症(ASD)

ご家族や教員がお子様の特性を理解して接することで、お子様の社会的な適応がスムーズになります。そのためには、園や学校にも理解と協力を求めることが必要です。また、ある程度の段階に達したら、お子様自身にも、自分の性格や行動の特徴、得意・不得意などを知っていただくべきです。
学校以外でも、放課後等デイサービスなどを利用して、コミュニケーションや人間関係のスキルを積むことは、将来非常に役立ちます。コミュニケーションが苦手なタイプであっても、ちゃんと練習すれば、その子のペースで上達していきます。これは、運動の苦手な子も、練習すればいつか自転車に乗れるようになったり、サッカーができるようになったりするのと同様です。
生活に支障をきたすほどの症状がある場合には、その症状をコントロールするための薬物療法も検討します。

注意・欠如多動症(ADHD)

学習環境の調整と、必要に応じて薬物療法を行います。
学習環境については、支援学級を利用し、集中しやすいよう少人数で、到達度に応じた内容を教えてもらったり、通常学級で補助の先生に手助けしてもらったり、座席を一番前にしてもらったり、通級教室を利用するなど、いろいろな方法があります。支援の必要度、ご本人やご家族の希望、学校側の事情(教員数の問題など)も考えて、相談していきます。
また、薬物療法では、注意力・集中力・落ち着きを改善させることによって、できるだけ多くのことを学べるよう手助けすることができます。
放課後等デイサービスでも、勉強や友達づき合い、片付け・整理整頓などの身辺管理を学ぶことができます。
子ども時代には、学ぶべき勉強やスキルがたくさんありますが、ADHDの症状によって吸収を妨げられるのは、非常にもったいないと思います。また、症状のために親や教師からよく叱られたり、友達関係のトラブルが多かったり、勉強が苦痛だったりすると、自尊感情の発達にも悪影響を及ぼします。
ですので、ADHDは放置せず、なるべく早い段階から治療・支援を開始することが大切です。気になることがあれば、何でもご相談ください。

LD(学習障害)

学校や家庭での学習のストレスを軽減し、効率よく学習するための工夫が必要です。
また、やる気を引き出すことも重要ですので、次の3点を意識して頂ければと思います。
①一部でもできたら、必ずほめる
②できない部分は手助けして、成功させてあげる(ほとんど手伝っても、できたらほめる)
③小さなステップで、一歩一歩、無理なく進める。
小さな「できた」「やったね」を、たくさん積ませてあげてください。

1家庭でのトレーニング

ご家庭でどのように読み書きや計算を教えたらよいのか、ご相談ください。
お一人おひとりの習得段階やつまづくパターンに応じて、適切と思われる練習法を具体的にアドバイスさせていただきます。

2学校での工夫

読むのが苦手で、教科書の内容が理解しづらい場合は、拡大教科書(または教科書の拡大コピー)などを利用する方法があります。また、読めない漢字が多くて困るなら、ルビを振ってもらえないか教員に相談してみてはいかがでしょうか。
板書が追い付かず、授業の内容に集中できないようでしたら、授業中は先生の話に集中し、板書すべき内容はプリントや画像で渡してもらうのも一案です。
通常学級で上記のような対応が困難な場合には、支援学級で個別対応してもらうのも一つの方法です。ただし、学校には教員数などの事情もありますので、必ずしも要望が通るとは限りません。

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