汗かき・多汗症の漢方治療(成人・小児)

多汗症はどんな病気ですか?

多汗症とは、手のひら、顔、頭部、腋、足裏など限定された部位、あるいは全身に異常な量の汗をかく病気です。
暑い時、辛いものを食べたとき(誰でも汗をかくとき)だけに汗をかく量が多い「汗かき」とは異なります。

これってただの汗かき? それとも多汗症?

このよう症状にお困りではありませんか?

  • 暑くないのに汗をかく
  • 運動したわけではないのに汗をかく
  • 白いシャツの腋の部分に黄色いシミがつく
  • 持った書類が濡れるほどの手汗がある
  • 全身のうち限られた部位だけで多汗が見られる
  • いつも足のにおいが心配
  • その他日常生活に支障をきたす多汗がある

多汗症の原因

多汗症は大きく、全身性多汗症と、局所性多汗症に分けられます。
それぞれのタイプによって、原因が異なります。

全身性多汗症

全身に多量の汗をかくタイプの多汗症です。

温熱性
  • 運動
  • 高温環境
  • 発熱
内分泌・代謝性
  • 更年期障害
  • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
  • 糖尿病
  • 肥満
  • 末端肥大症
  • 急性リウマチ
  • 生殖器障害
神経障害
  • パーキンソン病 など
薬剤副作用
  • 向精神薬
  • 睡眠導入剤
  • 非ステロイド系抗炎症薬
  • ステロイド薬
感染症
  • 結核
  • 敗血症
特発性 原因不明

局所性多汗症

手のひら、顔、頭部、腋、足裏など、限られた部位に多量の汗をかくタイプの多汗症です。

掌蹠多汗症(しょうせきたかんしょう):手のひら、足裏の多汗
手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう):手のひらのみの多汗
足蹠多汗症(そくせきたかんしょう):足の裏のみの多汗
腋窩多汗症(えきかたかんしょう):腋の多汗

精神性 緊張、不安(手のひら、足裏、腋)
味覚性 辛いものの摂取(顔、頭部)
神経障害 胸部交感神経切除後の代償性発汗(体幹~大腿)など
その他 皮膚疾患を原因とする多汗

多汗症の漢方治療

日本皮膚科学会の「原発性局所多汗症診療ガイドライン2015年改訂版」には漢方薬の記載はありませんが、漢方薬が多汗症に奏功したという症例報告は多数あります。
外用薬で改善しない多汗症には、ボトックスや手術に踏み切る前に、漢方薬を試してみるのもよいかと思います。希望される方は、遠慮なくご相談ください。
漢方薬 陰陽 虚実 特徴
防已黄耆湯 陽証  虚証 肥満症、関節痛、むくみ
(疲れやすい方の多汗症によく用いられます)
桂枝加黄耆湯 陽証 虚証 寝汗、あせも、虚弱体質
白虎加人参湯 陽証 実証 喉の渇き、すぐに汗が出る、多尿
柴胡加竜骨牡蠣湯 陽証 実証 驚きやすい、精神不安、悪夢、不眠
(多汗症にも用いられます)
加味逍遙散 陽証 虚証 ホットフラッシュ、疲れやすい、不眠、イライラ
(多汗症にも用いられます)

汗かきや多汗症を予防しましょう!

予防法といては、以下のような方法がおすすめです。

1生活習慣の改善

生活リズムを整えたり、3食の時間を一定にしたり、質・量とも十分な睡眠をとったり、適度に運動することが大切です。
飲酒、喫煙もできる限り控えましょう。

2食生活の改善

交感神経の働きを優位にする辛いもの・酸味の強いもの、カフェインは、普段から摂り過ぎないようにしましょう。特に、汗をかいて困る場面では控えてください。
その上で、栄養バランスの整った食事を3食摂りましょう。

3毎日リラックスタイムを確保する

ストレスの多い現代では、意識的に時間をとらないと、なかなか心からリラックスすることはできません。
ご自宅で、あるいは外出先で、1日に30分程度で結構ですので、心身をリラックスさせる時間をつくりましょう。

多汗症のよくあるご質問

多汗症は、どこにたくさん汗をかくものなのでしょうか?

手のひら、顔、頭部、腋、足裏など限られた部位にのみ多量の汗をかく「局所性多汗症」と、全身に多量の汗をかく「全身性多汗症」にわけられます。

汗をかきやすい食品などはありますか?

辛いもの、酸味の強いもの、あるいはコーヒーや紅茶といったカフェインを含むものは、交感神経の働きを優位にして発汗を促します。
食べたり飲んだりすること自体には問題ありませんが、汗をかいては困る場面に向かうときには、控えるようにしましょう。

どの程度なら治療が必要なのでしょうか?

基準となるのは、日常生活に支障が出ているかどうかです。書類などが手にくっついてしまう・濡れてしまう、ジャケットにまで汗が染み出てくる、周囲からの目が気になるといった、「多汗によって困っている」ことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

腋にたくさん汗をかきます。ワキガの可能性はありますか?

汗腺には、全身に広く分布するエクリン腺と、腋・乳輪・外陰部などに集中するアポクリン腺があります。
ワキガは、このうちのアポクリン腺が多い・大きいことによって起こります。白いシャツなどの腋汗が黄色いシミになってしまう場合には、アポクリン腺が多い・大きいことが考えられ、ワキガの可能性も高くなります。

TOPへ戻る
tel.06-6393-1800 WEB予約 いばクリニックのLINE(お役立ち情報)