単純ヘルペス・帯状疱疹

単純ヘルペス

ヘルペス単純ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルス(1型または2型)が、皮膚や粘膜に感染し、赤みや水ぶくれなどの症状をきたす病気です。
口唇ヘルペスと性器ヘルペスが代表的ですが、他にも、歯ぐき、顔、耳、躯幹、四肢、指、おしりなど様々な部位に出現することがあります。
口唇ヘルペスは、唾液を介して感染し、キス、タオルやコップの共用、くしゃみの飛沫などでもうつります。
性器ヘルペスは、主に性行為によって感染します。

口唇ヘルペスはどんな病気ですか?

単純ヘルペスウイルス(ほとんどが1型)の感染によって、唇やそのまわりの皮膚に小さな水ぶくれなどの症状をきたす病気です。

口唇ヘルペスの症状

口唇ヘルペスの症状は、唇やそのまわりの皮膚、口の中において、基本的に以下のような経過をたどります。

初期の症状

唇やその周辺で、ピリピリ、チクチクした感覚が生じます。

発症期の症状

ウイルスの増殖が活発になり、発症後半日以内に、唇やその周辺が赤く腫れます。

2~3日後

腫れた部位の上に水ぶくれが生じます。水ぶくれの中にはウイルスが多く存在しています。
破れて中の液が飛ぶと、その部位にも感染します。

回復期の症状

水ぶくれがかさぶたとなり、次第に治っていきます。

口唇ヘルペスの原因

単純ヘルペスウイルスが唇や口の粘膜に感染することで発症します。キス、タオルやコップの共用、くしゃみの飛沫などを介して感染することが多くなります。
単純ヘルペスウイルスは、ほとんどの人が幼少期に感染しますが、一度感染すると生涯にわたって体内に潜伏します。そのため、風邪や睡眠不足、ストレスなどによって抵抗力が低下すると、ウイルスが再活性化し、そのたびに症状が出現します。

口唇ヘルペスの治療

抗ウイルス薬の内服による治療が基本です。ウイルスの増殖を抑える薬であるため、治療開始が早期であるほど有効です。
その後、口唇ヘルペス再発の前兆(口唇のピリピリ、チクチク感)を感じたときも、すぐに抗ウイルス薬を使用することで、炎症の拡大を抑えることができます。

性器ヘルペスはどんな病気ですか?

単純ヘルペスウイルス(2型が多いが1型もある)の感染によって、陰部の粘膜に痛み、赤み、水ぶくれなどの症状をきたす病気です。

性器ヘルペスの症状

陰部、そのまわり、肛門、太ももなどに、以下のような症状が出現します。初感染時はやや症状が強く現れます。再発の場合は、一般に症状が軽くなります。
ただし、女性の場合は重症化して入院が必要になることもあります。

  • 痛み
  • 赤み
  • 水ぶくれ
性器ヘルペスの原因

単純ヘルペスウイルスが陰部の粘膜に感染することで発症します。ほとんどは性行為によって感染します。また、稀ではありますが、感染している女性が出産するときに、赤ちゃんに感染させてしまうこともあります(産道感染)。
単純ヘルペスウイルスは、一度感染すると生涯にわたって体内に潜伏しているため、風邪、睡眠不足、ストレスなどによって抵抗力が低下したときにウイルスが再活性化し、そのたびに症状が出現するようになります。

性器ヘルペスの治療

基本となるのは、抗ウイルス薬の内服です。
なお、たびたび再発する場合(年6回が目安)には、「再発抑制療法」に健康保険が適用されます。1日1回、抗ウイルス薬を内服する予防的な治療です。

ご家族やパートナーにうつさないようにご注意しましょう

  • 特に発症時には、患部に触れたときにはしっかりと手を洗いましょう。
  • 肛門や太ももで発症している場合には、ウイルスが便座に付着する可能性があります。使い捨ての便座シートを使用したり、使用後の便座をエタノールで清拭するなどして、感染を予防しましょう。
  • 性器ヘルペスがあるときは性行為を控えてください。口唇ヘルペスがある時も、唾液をパートナーの身体に付着させないよう気を付けましょう。
  • 性器ヘルペスの症状がないときも、ウイルスは体内に潜伏しています。感染予防には、コンドームの使用が有効です。

帯状疱疹

帯状疱疹はどんな病気ですか?

帯状疱疹水痘・帯状疱疹ウイルスの感染によって起こる病気です。皮膚のピリピリとした痛みから始まり、発赤や水ぶくれなどが出現します。
加齢とともに発症率は上昇していきます。80歳までに30%以上の人に発症すると言われています。帯状疱疹と水ぼうそうは、同じウイルスによって起こります。水ぼうそうにかかると、治った後もウイルスは生涯に渡って体内に潜伏します。そのウイルスが、免疫が落ちた時などに増殖し、帯状疱疹を引き起こします。帯状疱疹を2回以上発症する方も、数%おられます。

帯状疱疹の症状

皮膚のピリピリとした痛みが数日~10日ほど続き、その後身体の左右どちらかの神経に沿って、帯状に赤い発疹が生じます。また、真ん中にくぼみがある特徴的な水ぶくれも見られます。このときには、皮膚・神経の炎症によって、強い痛みも伴います。

帯状疱疹は人にうつるの?

帯状疱疹そのものが人にうつるということはありません。ただし、水ぼうそうにかかっていないお子様などに、水痘・帯状疱疹ウイルスがうつり、水ぼうそうを発症させることはあります。

帯状疱疹の原因

水痘・帯状疱疹ウイルスの感染を原因とします。日本人のほとんどは幼少期に水ぼうそうにかかっているため、成人の90%以上が水痘・帯状疱疹ウイルスをもっています。

50歳代から帯状疱疹になりやすいって本当?

水痘・帯状疱疹ウイルスは、一度感染するとその後生涯にわたって体内に潜伏し続けます。そして、免疫が下がったときにウイルスが活性化し、症状として出現します。免疫を下げる原因としては、加齢、ストレス、風邪、睡眠不足などさまざまなものが挙げられますが、中でも加齢の影響は大きく、50代になるとそれまでの約2倍にまで発症率が高まります。

当院では帯状疱疹の予防接種に対応しております。特に、50歳以上の方にお勧めです。

帯状疱疹ワクチン
インフルエンザワクチン帯状疱疹の発症と重症化のリスクを低減させるためのワクチンです。
同ワクチンの接種歴、罹患歴のない成人の方には、帯状疱疹ワクチンの接種が推奨されています。
ただし、任意接種のワクチンですので、費用は自己負担となります。
帯状疱疹ワクチンには2種類があり、いずれも50歳以上の方が対象です。
1つ目は、不活化ワクチン(シングリックス)で、2か月~6か月あけて2回接種します。概ね90%以上、帯状疱疹を予防できます。もう1つは生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン)で、お子様の水ぼうそうワクチンと同じものです。こちらは1回の接種になりますが、帯状疱疹の予防効果は50%強で、8~10年で効果が消失すると言われております。

帯状疱疹ワクチン接種をご希望の方へ

帯状疱疹ワクチンを接種ご希望の方は、事前にご予約をお願いします。
予診票も下記よりダウンロードが可能となります。
事前にご記入いただきご持参いただきますとスムーズに予防接種を受けていただけます。

※クリニックにて予診票もご準備していますのでご来院いただき、ご記入いただくことも可能です。

帯状疱疹の治療

帯状疱疹の治療では、主に内服薬と外用薬を使用します。
重症化している場合には、入院した上での抗ウイルス薬の点滴投与が必要になることもあります。

内服薬

抗ウイルス薬

ウイルスの増殖を抑える薬です。
発疹が出現してから3日以内の内服が特に有効です。ただし、効果が現れるまでに数日を要します。

痛み止め薬(鎮痛剤)

帯状疱疹に伴う痛みを抑える薬です。
痛み方には個人差が大きいため、痛みのタイプに応じた鎮痛剤の選択が重要です。
当院では、疼痛管理にも力を入れております。

外用薬

傷ついた皮膚を保護し、回復を促進するために、塗り薬や創傷被覆材(ドレッシング材)を使用します。細菌による二次感染やその疑いがある場合には、抗菌薬の塗り薬を使用することもあります。

ヘルペス・帯状疱疹のよくあるご質問

ヘルペスとは、どういった病気なのでしょうか?

もともとの語源を辿ると、ヘルペス(Herpes)には「小さい水ぶくれ」という意味があります。
現在では「ヘルペス」というときには通常、単純疱疹または帯状疱疹のことを指します。単純疱疹とは、単純ヘルペスウイルスの感染を原因として起こる口唇ヘルペスや性器ヘルペスなどのことを指します。

単純ヘルペスウイルスには種類があるのでしょうか?

単純ヘルペスウイルス1型と単純ヘルペスウイルス2型に分けられます。
1型は顔面、特に口唇での再発が多く、2型は下半身、特に性器での再発が多いという特徴を持ちます。

口唇ヘルペス、性器ヘルペスは完治するのでしょうか?

口唇ヘルペス、性器ヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルスは、一度感染すると生涯にわたって体内に潜伏し、除去することはできません。
そのため、免疫が低下したときなどに再発することがあります。正しい生活習慣、体調管理によって免疫を維持することが、再発の予防につながります。

帯状疱疹は、どのように発症するのでしょうか?

水痘・帯状疱疹ウイルスに初めて感染したときには、水ぼうそうになります。このときにウイルスが神経節内に潜伏します(生涯にわたって潜伏し続けます)。
その後、加齢などに伴う免疫の低下などをきっかけとしてウイルスが再活性化したとき、帯状疱疹を発症します。
帯状疱疹そのものは、通常その1回きりの発症です。ただし、免疫が低下したときに再発するケースも見られます。
現在は、帯状疱疹ワクチンによって高い確率での予防が可能です。

加齢以外に、免疫が低下する原因はありますか?

ストレス、風邪、睡眠不足など、さまざまなものが、免疫を下げる原因となります。
正しい生活習慣を送り、体調管理に努めることで、発症や再発のリスクを低減させることができます。

帯状疱疹は、人にうつるのでしょうか?

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスに感染し水ぼうそうとなり、その後潜伏したウイルスが再活性化することで発症します。
そのため、帯状疱疹がそのまま人にうつるということはありません。しかし、水痘・帯状疱疹ウイルスをもっていない人(小さなお子様など)へと感染させ、その後の水ぼうそうや帯状疱疹の原因になるということはあります。

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