夜尿症・おねしょ

夜尿症はどんな病気ですか?

夜尿症はどんな病気ですか?夜尿症は、睡眠中の尿漏れのことを指します。
子どもの夜尿症は排尿にかかわる機能が未発達であることを主な原因としますが、大人の場合は他の疾患を原因とするケースが少なくありません。

「夜尿症」と「おねしょ」の違い

夜尿症とおねしょの違いについてご説明します。

おねしょ:5歳未満で、夜寝ているあいだに尿漏れを起こすこと。通常、病気とはみなしません。
夜尿症:5歳以上で、月1回以上、夜寝ているあいだに尿漏れがあり、かつそれが3ヵ月以上続くこと。

夜尿症の原因

夜尿症の原因お子様の場合は、寝ているあいだに尿がたくさん作られること、寝ているあいだの膀胱が小さいことなどによって、夜尿症になることがほとんどです。多くは、年齢を重ねるにつれて改善されます。
また、遺伝についても指摘があります。両親に夜尿症の既往がある場合には、約75%の確率で、子どもも夜尿症になると言われています。
注意すべきは、夜尿症の背後に他の疾患が隠れている場合があることです。最も多いのは便秘ですが、他にも様々な疾患によって夜尿が二次的に起こります。特に、半年以上夜尿のない時期があったのに、その後夜尿が出現した場合は、原因精査が必要です。

何歳から治療をするべきなの?

夜尿症の治療開始の目安をご紹介します。
ただし、何らかの疾患が関連していることもありますので、目安の年齢に達するまで待つ必要はありません。気になったときに、一度ご相談いただければと思います。

おねしょの回数
  毎晩 週3~4回 週1~2回
5~6歳 生活習慣の見直し 生活習慣の見直し ご家庭にて様子をみる
6~7歳 治療開始 生活習慣の見直し
(改善がなければ治療開始)
生活習慣の見直し
8歳以上 治療開始 治療開始 治療開始

夜尿症の治療

いばクリニック 診察室お子様の夜尿症は、治療を開始してすぐ治るものではありません。またもちろん、患者様ご本人の努力不足で起こるものでもありません。治ったと思っても、しばらくしてまた失敗するということもあります。
気負い過ぎず、ゆったりとした気持ちで治療に臨みましょう。
夜尿症は何も治療しないでも年齢と共に治っていくことが多いですが、治療した群と無治療の群の比較研究において、治療した群の方が年齢ごとの治癒率(治療終結後も夜尿のない率)が圧倒的に高いことが示されております。また、夜尿症は子どもの自尊心を低下させる原因にもなりますので、夜尿症治療の意義は大きいと考えます。
当院では、夜尿症の精査と治療を、診療ガイドラインに準じて丁寧に実施させていただきます。
夜尿症の対処法の3原則「あせらず」「おこらず」「起こさず」

あせらない:排尿機能の発達による自然治癒も期待できます。治療では、あせらないことが大切です。
おこらない:おこってしまうと、治療への意欲が失われます。失敗したときも、優しい気持ちで見守ってあげてください。
起こさない:夜中に起こしてトイレに行かせることは、睡眠のリズムを乱すこととなり、睡眠の質の低下につながります。また、長期的には身体の発達の妨げにつながります。ただし、宿泊訓練などの特殊な場合のみ、夜中にトイレに誘導するのは問題ありません。

生活習慣の改善

具体的な治療として基本となるのが、生活習慣の改善です。これだけで、お子様の夜尿症の20~30%に改善が見られます。

  1. 早寝早起きをする
  2. 3食を決まった時間に摂る、夕食は就寝時間の3時間前までに終わらせる
  3. 夕食後はコップ1杯分程度の水分摂取に留める
  4. 喉の渇きを引き起こす塩分を摂り過ぎない(特に夕食)
  5. 膀胱を圧迫する便秘を避けるため、食物繊維を摂る・運動をする
  6. 尿意の有無にかかわらず寝る前にトイレに行く習慣をつける
  7. 睡眠中に身体が冷えないように寝室の環境、寝具を見直す

薬物治療

1抗利尿ホルモン薬

尿を濃縮することで、尿量を減らします。
内服薬または点鼻薬で投与します。

2抗コリン薬

膀胱の緊張をほぐすお薬です。膀胱の収縮が抑えられます。
内服薬またはテープ薬を使用します。

3三環系抗うつ薬

抗利尿ホルモン薬、抗コリン薬で十分な効果が得られなかったときに使用する内服薬です。

アラーム治療

お子様の下着(パンツ)にセンサーを取りつけ、そのまま寝ていただきます。
センサーが尿で濡れるとアラームが鳴る仕組みになっていますので、尿漏れの感覚をお子様に覚えてもらうことができます。すると、膀胱に溜まる尿の量が増え、次第に夜間の尿漏れが起こりにくくなります。

おねしょ(夜尿症)のよくあるご質問

7歳の子どものおねしょがなかなか治りません。治療は必要でしょうか?

現在、どれくらいの頻度でおねしょがありますか?週3日程度であれば排尿機能の発達による自然治癒が期待できますが、それ以上の頻度である場合には治療が必要になるかもしれません。
一度、当院にご相談ください。

おねしょをしても叱らないでいたのですが、まだ治りません。叱った方がよかったのでしょうか?

おねしょは、叱って治るものではありません。逆効果になることもありますので、引き続き叱らないであげてください。お子様のおねしょは自然治癒が期待できますが、なかなか治らずに心配、ご両親のストレスになっているというようでしたら、一度当院にご相談ください。

子どものおねしょの原因を、「愛情不足だ」と親戚に言われました。

ストレスを原因としておねしょをしてしまうケースもありますが、多くは排尿機能の未発達によるものです。
そういった指摘は気にせず、温かく見守ってあげてください。もしご心配なようでしたら、当院にご相談ください。

中学生になっても、夜中に尿漏れがあります。自然治癒は期待できますか?

中学生になっても頻繁に夜間の尿漏れがある場合には、腎臓、泌尿器系、または神経系の疾患が背景にある可能性が考えられます。
一度、お早目にご相談ください。

おねしょと便秘は関係あるのでしょうか?

便秘によって腸内に便が溜まることで、膀胱が圧迫されます。その状態で寝ると、尿漏れを起こしやすくなります。
便秘解消のためには、水分や食物繊維の摂取、運動が有効です。ただし、就寝前は水分を摂り過ぎないようにしてください。
毎日おつうじがあっても直腸に便が貯留していることも稀ではありません。当院では、放射線や痛みを伴わないエコー検査で便秘の有無を評価し、同時に腎臓や膀胱なども精査させていただきます。

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